浪漫列島 道の駅めぐり

タイトル浪漫列島 道の駅めぐり
著者田村喜子
出版社講談社
初版発行日2000年3月15日
サイズ四六判
ページ数365ページ
定価1800円

【まえがき】

「道の駅めぐりをしているのよ」
 というと、
「道の駅? なに? それ」

と、クエッションマークが二つもつくほどの応えが返ってきた。三年前にはほとんどのひとが『道の駅』を知らなかった。そのうち、テレビや新聞が道の駅を会場に催されるイベントなどを報じたりして、『道の駅』ということばが、少しずつ人びとの耳になじんできた。

古来、『道』とは人と人、地域と地域の交流を支え、文化の交流・伝達のうえで大きな役割を果たしてきた。人びとは道で汗し、涙し、道は人生の舞台でもあった。道はひとの営みすべてに関わっているといっても過言ではない。この『道』に『駅』がある。

『駅』といえば、鉄道の駅と考えられがちだが、歴史的にはむしろこの方が古く、律令時代にはすでに駅制が設けられていた。公用の旅行や緊急の通信のため、五畿七道の三〇里(約一六キロ)ごとに駅(駅家)、渡し場に水駅を置き、駅長・駅子に駅馬・駅船を運営させていたという記録が残されている。

長距離のドライブが増え、女性や高齢者のドライバーが増加するなかで、『道の駅』は、だれもが安心して自由に立ち寄れる快適な空間を提供しようという目的で設置されたもので、二四時間いつでも駐車場、トイレなどが利用できる。さらには沿道地域の文化や歴史、名所、特産物など地域の情報や道路、交通情報なども兼ね備えている。現在全国で五〇〇ヶ所以上を数え(平成一一年八月現在 五五一箇所登録済み)、道路を利用する人びとや地域の人びとの交流の場となっている。また、道の駅と一体となっている地域振興施設では、各地域によってさまざまな工夫がなされており、地域づくりの一翼を担っている。

長距離ドライブで疲れたドライバー(疲れていなくても)は、道の駅でちょっと一服、地方の方々とたのしく語り合ったり、その地の特産品を味わってみたり、ときには体験型レクリエーションに参加してみるのも一興だろう。

本書は全国の『道の駅めぐり』の報告であるが、本書で触れなかったなかにも、個性的ですばらしい『道の駅』がたくさんできていることを付け加えておきたい。

田村喜子

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